本研究では、自己に対するネガティブな潜在的態度がもたらす不適切な対人反応が社会的ネットワークでの孤立を深刻化させるというプロセスを検証するため、大学生を対象として、顕在的自尊心および潜在的自尊心とネットワークでの対人行動との関連に着目して縦断的な検討を行った。分析の結果、潜在的自尊心の高さが対人関係の拡張を抑制するという結果が得られた。また、顕在的自尊心が潜在的自尊心を高めるという影響過程もみられた。この結果は、潜在的自尊心が孤立を生み出すプロセスとして、他者からの排斥ではなく、むしろ関係構築への消極性の観点から解釈することが重要である可能性を示唆するものであった。
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