本研究の目的は、裁判員裁判のような専門家-非専門家の合意形成過程において円滑なコミュニケーションを促進する評議デザインの手法を実験社会心理学的観点から検討・提案することであった。また、一般市民の法的判断や刑事犯罪の被害者・加害者に対する反応傾向についても検討した。専門家がより重い判断(殺人罪)を主張する場合は、(1)評議前に個別の情報整理の時間を設け、(2)時系列に並んだ争点整理表に基づいて専門家が評議を進める評議手法を適用した方が判決の満足度が高かった。また,犯罪被害による損失は将来的に埋め合わされると考える傾向の強い個人は、加害者の非人間化を行いやすく,厳罰指向が強くなることが示された。
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