研究課題/領域番号 |
25780383
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
池田 浩 福岡大学, 人文学部, 准教授 (80454700)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サーバント・リーダーシップ / チーム力 / リーダーへの信頼 / モチベーション |
研究概要 |
本研究の目的は、メンバーを支え、奉仕する新しいリーダーシップとしてサーバント・リーダーシップ(Servant Leadership)の意義に着目し、その効果と有効性を実証的に明らかにすることであった。初年度は、第1にサーバント・リーダーシップの理論的整理を行うとともに、第2に理論的レビューから得られた知見をもとに、サーバント・リーダーシップ尺度を作成し、調査デザインを検討することであった。 まず、サーバント・リーダーシップの理論的整理については、サーバント・リーダーシップを測定する全ての尺度をレビューし、それぞれが測定している次元と問題点を明確化した。また、サーバント・リーダーシップの効果については、メンバーに対する個人レベルの効果と職場集団やチームレベルに対する効果とを弁別しながら整理した。これらの理論的整理については、2014年3月に開催された産業・組織心理学会部門別研究会において「サーバント・リーダーシップの効果とその可能性」のテーマで研究成果を発表した。 次に、第2の調査デザインについては、既存のサーバント・リーダーシップ尺度をもとに一部修正し、新しい測定尺度を作成した。そしてそれをもとに医療組織で調査を実施し、その調査結果を平成26年度の関連学会で報告することが確定している。また、新たに3つの医療組織でも調査を実施することが決定しており、サーバント・リーダーシップの個人レベルとチームレベルの効果の解明に向けて取り組んでいる状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に基づき先行研究レビューを行い、それをもとに調査デザインの検討を行った。また、調査を実施するにあたり、複数の現場から協力を得ることができ、実証的な検証を行う基盤づくりも着実に進み、次年度以降の研究を進展させる道筋を作ることもできていることからおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
従来型のリーダーシップとサーバント・リーダーシップが、メンバーに対する効果においてどのような差異が見られるかを実証的に明らかにするために、調査研究と実験研究の2つの方法を用いて取り組んでいく。まず、調査研究については、既に3つの医療組織の協力が得られ、調査を進めているところである。また、サーバント・リーダーシップの効果の一般性を検証するために、今後、一般企業を対象とした調査も進めていく予定である。 次に、実験的研究として、どのような状況においてサーバント・リーダーシップが効果を発揮するかを明確にするために、チームが取り組む課題特性を操作しながら検証していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費ができた理由として、研究協力組織が九州を中心とした場所に所在したことがあげられる。また、研究資料の収集なども効率的に進めることができた点も一因と言える。 こうした状況を踏まえ、繰り越された研究費については現在3つの医療組織を対象に進めている調査実施やデータ入力などの人件費に充てる予定である。さらに次年度の研究費については、今年度実施した調査結果を国内外の学会で発表するための旅費のほかに、関連文献・資料の購入、実験に必要な機器といった物品費にも利用する。
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