本研究の目的は、メンバーを支え、奉仕する新しいリーダーシップとしてサーバント・リーダーシップ(Servant Leadership)の意義に着目し、その効果と有効性を実証的に明らかにすることであった。 最終年度に当たる平成27年は、サーバント・リーダーシップが個人レベルを超えて、チーム力などの職場全体にどのような波及効果をもたらすかを検討することであった。これを実現するために、ある政令指定都市の学校組織の約30%にあたる66組織(1920名)を対象に質問紙調査を実施した。 その結果、ミドルリーダーのサーバント・リーダーシップは、メンバーの仕事の熱意を意味するワークエンゲイジメントやフォロワーシップを引き出していた。さらに職場レベルでメンバー同士が建設的に関わり合う協働的職場風土を醸成し、それらが職場における新規アイディアの提案を産み出していた。また、組織トップとミドルリーダーのサーバント・リーダーシップの効果を比較したところ、メンバーとの物理的かつ心理的距離の近いミドルリーダーの方が直接的な効果を発揮しやすい可能性も示唆された。これらの調査結果を踏まえ、2つの組織現場でインタビュー調査も実施し、研究知見の現実的な妥当性の確認も行った。 これらの知見は、2016年の国内の関連する学会で報告する予定である。また、研究成果を広く社会に換言すべく投稿論文や著書としても刊行予定である。
|