本研究の目的は、育児期の女性の就労移行のプロセスに関わる心理社会的要因を明らかにし、家庭と仕事の両立のための心理社会的サポート要因を検証することであった。そのため育児と就労の関連からフォーカスグループを作成し,インタビューによる質的調査と質問紙による量的調査の組み合わせによって検討を行った。 その結果、育児による離職促進及び再就職の阻害要因として、性役割の分業観や家事・育児への責任感、夫の出世に対する期待との関連が認められた。さらに再就職した母親は家庭との両立のしやすさを重視した勤務形態を選択しているが、幸福感の得点は低く、より良い仕事を希望しており、長期的なサポートの必要性が示唆された。
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