研究課題
若手研究(B)
高齢者が行っている個別の余暇活動が持つ要素を具体的な行動などから詳細に分類し、その分類を元に余暇活動の評価の定量化と、余暇活動の各要素と認知機能との関係を明らかにすることを目的としている。平成25年度は、まずこれまでに収集していた高齢者が実施している余暇活動のリストを整理した。類似する内容の活動をまとめた結果、103の活動リストを作成した。この活動リストをもとに、高齢者がそれぞれの活動を実施する際に、「頭を働かせる」「身体を動かす」「人と交流する」という要素をどの程度必要とするかの評定を行った。評定値は、0.まったく必要としない、1.少し必要、2.まあ必要、3.とても必要、のうちから選択を求めた。評定は、余暇活動を多く実施している高齢者8名の協力を得、質問紙に基づいた個別の面接形式で聞き取りを行った。加えて、同様の評定を心理学・老年学を専門とする研究者および大学院生が独立して行った。それぞれ得られた回答について、研究者が独立して評価した値と高齢者の評定の間の差異を検討をし評定値を余暇活動評価指標として確定した。なお、「身体を動かす」ことについての評定値の確定にはMETsを参考とした。評定値の測定精度を確認するため、研究者と高齢者の回答の級内相関係数およびクロンバックのα係数を求めたところ高い内的整合性が得られた。さらに、余暇活動のどのような要素が認知機能と関連するか検討をしたところ、「頭を働かせる」要素を含む活動の実施が多いほど、認知機能の成績が高いことが示された。
2: おおむね順調に進展している
当初は、平成25年度には高齢者が実施している余暇活動およびインタビューによる余暇活動実施時の具体的な行動の収集の実施であり、余暇活動評価指標の作成は平成26年度に行う計画の一部であった。先行して行っていた研究の成果を活用できたことから、インタビューの実施を前倒しで行うことができた。以上のことから、当初の予定を前倒しで実施できている部分があり、概ね順調に進展していると判断できる。
国内外の知見をさらに収集した上で、作成した余暇活動評価指標をより洗練させることが必要だと考えている。さらに、本指標を用いて、パーソナリティあるいは認知機能、精神健康といった余暇活動と関連する要因の検討を進める。
予定より安価に購入できた物品があった。また年度途中に異動があり、その間、研究活動が一時休止した。計画よりも若干規模を大きくした調査活動ができる可能性があり、繰り越すことによる研究の進展が見込まれる。また、異動により研究フィールドが所属先と離れたため、旅費の支出が増えることが見込まれる。
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