研究課題/領域番号 |
25780402
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40579140)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 援助要請 / 被援助志向性 / 援助評価 / 認知行動療法 / 自動思考 / 発達臨床心理学 / 学校心理学 |
研究実績の概要 |
申請者は援助要請行動後の精神的健康の増進をも見据えた機能的な援助要請行動への介入をこれまで行ってきた。援助要請行動後の精神的健康の増進を図るためには行動的要因(援助要請スキルなど)への介入と,認知的要因(行動後の認知的評価である援助評価(本田・石隈,2008))への介入の2つが不可欠であることが明らかになっている。そして,申請者のこれまでの研究によって行動的介入方法はある程度効果的なものが開発されている。 本研究課題は機能的な援助要請行動を促進するための認知的介入法を開発することを目的としている。平成25年度には【研究1】として,認知的要因である援助評価が自動思考との関連が強いことを明らかにできた。 平成26年度には【研究2】として,援助評価に対する認知再構成法のワークブックを作成し,介入群の大学生を対象に90分1回の認知的介入を行った。しかし,分析の結果,統制群と比較すると,援助評価,自動思考,ストレス反応の各尺度において,介入効果を示す有意な得点の変化は認められず,介入群全体としては介入効果は示されなかった。 以上より,平成26年度の成果としては機能的な援助要請行動を促進するための認知的介入法(ワークブック)の試行版が作成されたが,その効果を実証するには至らず,今後介入方法(ワークブック,及び90分1回であった実施回数を増やすこと)の修正が課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究は平成25年度の研究成果を踏まえた認知的介入法の介入研究であり,計画通り実施,分析できたものの,仮説通りの結果が得られなかった。そのため,平成27年度には研究結果を十分に考察したうえでもう一度,平成26年度と同様の研究を実施する必要がある。 研究自体は計画通りに実施できており,研究成果が仮説通りではなかったこと自体は,本研究課題の「認知的介入法の開発」という点では意義のある研究であり,当初の平成27年度の研究計画に一部変更が必要になるものの,研究の進捗状況としては概ね順調であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では,最終年度(3年度目)の平成27年度には申請者が過去に開発した援助要請行動への行動的介入法と,本研究課題で開発した認知的介入法を組み合わせて実施し,その効果を検証することを目的としていた。しかしながら平成26年度の研究成果より,試行版として作成した認知的介入法にさらに改良を加える必要性が研究データから示された。 そこで当初の研究計画を変更し,平成27年度には試行版の認知的介入法に改良を加え,また実施方法に修正を加えて,もう一度認知的介入法の効果を検証することとする。この変更は研究データを実証的根拠として研究知見を蓄積する上で必要不可欠な変更であると考える。
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