研究課題/領域番号 |
25780403
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
大里 絢子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80597162)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自殺関連行動 / ゲートキーパー / 親の養育態度 / 自殺の態度 |
研究実績の概要 |
患者の診察を行う医療従事者の“自殺への態度”は患者の治療反応性または自殺関連行動に影響を与える大きな要因の一つとなり得ると考える。また”自殺への態度”は自殺のゲートキーパーとしての感度や素質と深く関係し、自殺予防に大きく影響を与えるものである。これまでに幼少期における親子の結びつきと、成人後のストレス対処との関連が報告されていることから、医学部学生を対象に調査を行い、親子の結びつきや親の養育態度と自殺への態度との関連性を明らかにする試みを行った。書面で同意を得た160名の弘前大学の医学部5年生を対象に、親子の結びつきについてはParental Bonding Instrument (PBI)、自殺への態度についてはAttitudes Toward Suicide questionnaire (ATTS)を実施し回答を得た。その結果対象者の88.8%が、誰もが自殺する可能性があるという選択肢に同意し、同様に86.3%が自殺は防ぐことができる、と回答した。年齢、性別を共変量とした重回帰分析において、母の養護因子と自殺への権利との間に有意な関連性を認め、医療従事者自身の親子の結びつきが自殺への態度に影響を与えることが分かった。また実習期間の長さと自殺への態度との関連が認められた場合、精神科のみならず各科で自殺やゲートキーパーとしての啓もうを意識的に行う必要性を示す根拠の一つとなり得るため、現在は医学実習生の実習期間の長さによりATTSの点数つまり自殺への態度が変化するかどうかについて検討を行っているところである
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度はゲートキーパーになりうる医学部生を対象に調査をおこなっていたため、25年度の解析で示唆された自殺念慮と人格検査の項目との関連が、初診後の自殺関連行動の予測にも用いる事が可能かどうか検討を行うための新たなうつ病症例の収集数が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新たな症例の収集を行い、患者の不利や負担にならないように検査を施行しデータ収集に努め、自殺念慮と人格検査の項目との関連が自殺関連行動の予測にも用いる事が可能かどうか検討を行っていく。また、ゲートキーパーとなり得る医学生の自殺への態度の調査も引き続き行っていく。
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