研究課題/領域番号 |
25780404
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濱家 由美子 東北大学, 大学病院, 助手 (80622422)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 早期介入 / 精神病 / At risk mental state / 感情表出 |
研究概要 |
統合失調症を含めた精神病においては、慢性期の家族に焦点を当てた研究に比べて、早期段階における若い患者とその家族を対象とした研究には乏しい。精神病の早期段階である精神病発症リスク状態(ARMS)と初回エピソード精神病(FEP)の家族の感情表出(EE)や苦悩は、長期間に形成される家族間のコミュニケーション・パターンに問題が生じる慢性期とは異なる特徴をもつと考えられている。 そこで、本研究では精神病の早期段階における家族の感情表出、家族自身の精神症状や自尊感情を評価するととともに、患者の精神症状や認知機能、社会機能を評価することで、精神病の早期段間における患者の家族の心理的負荷がいかに形成・維持されるかを調査し、ARMSとFEPにおける家族介入に必要な要因を解明することを目的とした。今年度は特にARMSとFEPの家族の感情表出と抑うつ症状に着目して調査を行うこととした。 東北大学病院精神科で加療中のARMS患者46名とFEP患者37名およびその家族を対象として、インテイクから一ヶ月以内に評価を行った。感情表出の評価には家族の批判的態度の評価尺度FASを用い、抑うつ症状の評価にはBDI-IIを用いた。また、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)と機能の全体的評定(GAF)尺度で患者の症状と機能を評価した。 家族のFAS得点はARMSとFEPとの間に差はなく、批判的態度が高いと判定された家族の割合はARMS6.5%、FEP5.4%と比較的少なかった。一方、BDIで軽度以上の抑うつがあると判定された家族はARMS群、FEP群ともに約3分の1であった。加えて家族の批判的態度と抑うつ症状には有意な相関が認められた。今回の調査結果から、家族の批判的態度がそれほど高くない早期段階において、家族の苦痛や精神症状に着目した介入が有益である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
立案した計画に基づいて、対象者への評価を定期的に実施することができた。加えて、これまでに蓄積したデータを解析し、第9回日本統合失調症学会にて報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
対象者への評価を継続して行い、さらに細かな解析を加えることが必要と考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に研究発表予定の国際学会の参加費として充当する必要があったため。 次年度参加の国際学会の参加費および旅費として使用する。
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