本研究では,否定的自動思考を自由記述法により収集し,それを基に,日本人にとって再生しやすい否定的自動思考の生起傾向を測定する尺度(Negative Automatic Thoughts List;NAL)を作成した。因子分析の結果,NALは「否定的感情表現」,「自信喪失」,「他者非難」,「後悔と恥」の4因子からなる,内的整合性の高い尺度であることが示された。また,その後の分析により,NALは現時点および1か月後後の抑うつの程度と正の相関をもつことが示されたが,縦断データの重回帰分析からは,明確な影響は示されなかった。
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