本研究の目的は、不眠障害患者の睡眠評価の歪みを説明する因子を明らかにすることであった。文献研究を通じ、睡眠/覚醒の操作的定義、睡眠前後の状況、睡眠想起時の状況など様々な要因が睡眠評価の歪みに関連する可能性が示唆された[研究1]。前夜の睡眠を振り返り評価をする場合には、就寝時の疲労感が強いほど、早く眠れたと主観的に評価しやすいこと、入眠を睡眠段階1の出現を基準として判定した場合よりも睡眠段階2を基準として判定した場合の方が入眠潜時評価の歪みが小さい可能性があることが示唆された[研究2]。また、過去の睡眠を総合的に判断する場合、毎日の睡眠の変動性が睡眠評価と関連する可能性が示唆された[研究3]。
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