研究課題/領域番号 |
25780408
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
大西 将史 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (20568498)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 気がかりな子ども / 不登校児童生徒 / 支援 / 学生ボランティア / アセスメント / 効果 |
研究概要 |
本研究では,(1)大学ボランティア(Life Partner:LP) を利用する児童生徒の状態と支援ニーズのアセスメント,(2)LP の効果の測定,を行うことが目的であった。その内,初年度であるH25年度には,(1)については児童生徒の保護者への質問紙調査を実施し,(2)については児童生徒の担任への質問紙調査を実施した。 (1)の保護者への質問紙調査では,16名から回答が得られた。児童生徒の発達障害傾向および総合的な適応の困難性を測定するSDQへの回答が得られた15の結果を分析すると,困難性総合指標において標準サンプルにおける臨床水準を示したものは15名中5名(約33.3%),境界水準を示した者が15名中6名(40.0%)存在したことから,LPを利用している児童生徒の半数近くは臨床的介入が必要な水準の問題を抱えていることが明らかになった。特に,情緒不安定性と友人関係における問題を抱える者が多かった。 (2)の担任教師あるいはLP担当教師への質問紙調査では,69名からの回答が得られた。その結果,「個別に丁寧に対応してくれて助かった」「子どもが楽しそうな顔が見られるようになった」「他の子どもとつなぐ役割を果たしていた」「学習の遅れが少し取り戻せた」などの意見が多く,LP活動の有効性を教師が実感していることが示唆された。また,小中学校の教師がLP学生との情報交換をする時間が取れないなどの問題点も指摘され,LP学生を派遣している大学と学校側との連携の問題も明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度の研究計画では,(1)大学ボランティア(Life Partner:LP) を利用する児童生徒の状態と支援ニーズのアセスメントと(2)LP の効果の測定,を行うことが目的であった。 (1)については,児童生徒の保護者への質問紙調査は実施することができたが,十分なサンプルサイズを確保することができなかった。また,児童生徒本人および教師への質問紙調査をする計画であったが,上記調査を実施することができなかった。 (2)については,上述の児童生徒本人への質問紙調査を実施できなかったために同様に実施することができなかった。しかし,教師への質問紙調査によって教師の視点から捉えたLP活動の効果については明らかにすることができた。 これらの理由としては,調査協力市の教育委員会との交渉の結果,個人情報保護の観点から調査実施に対する許可が下りなかったためである。今年度はさらに交渉を続け,調査を確実に遂行できるようにする。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度においては,これまでの計画を維持し,同じ研究計画のまま進める。なぜなら,現在調査協力市の教育委員会との交渉を続けており,調査を実施できることが期待できるためである。実際に,協力市の一部の学校において調査を実施することが決定している。ただし,今年度内の交渉の進捗状況によっては,一部研究計画の変更も考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入予定であった物品の価格を低く抑えることができたため。 H26年度の使用計画の内,人件費・謝金に上乗せして使用する。
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