研究課題/領域番号 |
25780408
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
大西 将史 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (20568498)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気がかりな子ども / 不登校児童生徒 / 支援 / 学生ボランティア / アセスメント / 効果 |
研究実績の概要 |
本研究は,筆者らが運営する学生ボランティア派遣事業『ライフパートナー(LP)事業』の対象児童生徒に対して,(1)LP を利用する児童生徒の状態と支援ニーズのアセスメント,(2)LP の支援効果の測定,を行うことを目的とするものである。平成26年度は,前年度に引き続き調査を行った。調査対象者は,福井県内の公立中学校1校の生徒約400名であり,その内,LPによる支援を受けている生徒は16名であった。 (1)アセスメント:391名(男子209名,女子182名)の生徒を対象に質問紙調査を実施した。調査内容は生徒本人用は,抑うつ傾向,攻撃性,ストレスであった。教師が生徒について回答するものは,LP支援対象生徒のみを対象とし,SDQ(発達障害傾向)及び 社会的スキルへの回答を求めた。調査時期はLPによる支援活動の始まる前の5月中旬であった。分析の結果,LP支援対象生徒は一般生徒よりも攻撃性および学校ストレスが有意に高かった。教師への調査については,標準データを基に偏差値の算出を行った結果,SDQの向社会的行動は平均よりも1標準偏差以上低く,多動性・衝動性,情緒不安定性,友人関係問題は平均よりも1標準偏差以上高かった。社会的スキルは,全ての下位尺度において平均よりも1標準偏差以上低かった。よって,LP支援対象生徒がこれらの特徴において大きな課題を抱えていることを示唆している。 (2)支援効果の測定:(1)と同じ調査対象者に同じ内容の調査を12月中旬に行った。生徒本人への調査データを分析した結果,LP支援対象生徒の抑うつ及び友人ストレスは低下傾向があったが,有意な変化ではなかった。攻撃性やその他のストレスについても有意な変化はみられなかった。教師への調査データにおいても,各指標の有意な変化は見られなかった。以上から,今年度の研究結果からはLP学生による支援の効果はみられなかった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の計画では,(1)LP を利用する児童生徒の状態と支援ニーズのアセスメント,(2)LP の支援効果の測定,を行うことが目的であった。特に,(2)のLPの支援効果の測定については,LPの支援が早く始まるグループ(介入早期開始群)と遅く始まる(介入開始遅延群)それぞれに調査をする予定であったが,介入早期開始群のみにしか調査ができなかった。これにより,得られたデータのサンプルサイズが当初の計画よりも少ない状況である。また調査内容についても,観察や面接による方法も計画していたが,実施することができなかった。 しかしながら,平成25年度には実施することのできなかった生徒への調査を実施することができたために,データのサンプルサイズが小さいという上述の問題は残されているが,着実に計画が前進している。
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今後の研究の推進方策 |
上で書いたように,平成26年度に得られたデータのサンプルサイズが小さく,研究の遂行はやや遅れている。そこで,平成27年度においては,平成26年度の計画を継続し,データのサンプル数を十分なものにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出予定であった人件費・謝金を使わなくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の使用計画のうち,旅費,物品費及び人件費・謝金に上乗せして使用する。
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