本年度は,大学院生を対象に実施している産業臨床実習の実態についてのインタビュー調査を行った。インタビュー調査の対象者は,現役の大学院生,大学院修了生,産業臨床実習を担当している大学教員,実習受け入れ先の実習担当者などであった。なお,実習受け入れ先の大部分は,EAPや精神科クリニックなどであった。インタビュー内容は,実施した実習の内容,期間,実習後の大学院生の産業臨床に関する知識や技術,興味や関心などの変化,実習における課題などであった。分析の結果,実習の内容や期間などには多様性が認められるものの,実習生の産業臨床に関する知識や技術,興味や関心などは,実習後におおむねポジティブな方向に変化していることが明らかになった。 また,本年度は3年間にわたる研究の最終年度として,臨床心理専門職向け自主シンポジウムを,日本心理臨床学会第34回秋季大会において開催した。自主シンポジウムでは,はじめに社会人などを対象に開講している東京大学職場のメンタルヘルス専門家養成コース(U-Tokyo Occupational Mental Health Training Program: TOMH),京都文教大学産業メンタルヘルス研究所産業心理臨床家養成プログラム,特定非営利活動法人大学院連合メンタルヘルスセンターにおける教育プログラムについて,ご担当の先生方に概要をご紹介いただいた。次に我々の調査結果も紹介したのちに,指定討論およびフロアの方々を含めたディスカッションを行った。なお,本シンポジウムには65名程度の方々にご参加いただいた。
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