研究課題
認知行動療法前後の情動制御に関わる脳機能の変化を検討した。うつ病患者29名と健常者15名を対象に、うつ病患者に対しては認知行動療法を実施した。認知行動療法の前後にfMRIの測定を行なった。fMRIの測定と平行した感情課題ではポジティブあるいはネガティブな刺激語を提示し、それらの刺激語の内容についての自己関連性判断を行なった。認知行動療法を受けたうつ病患者29名のうつ症状は有意に低下し(F (1, 42) =12.23, p < 0.001,η2 =0.27; post hoc comparison p < 0.001)、15名のうつ病患者には50%以上の症状の改善が見られた。脳機能画像の分析結果では、①の結果から示された情動制御に関わる脳領域(内側前頭前野; MPFC)をregion of interestとしたfunctional connectivity analysisをpsycho-physiological interactionによって行った。 ネガティブな刺激の自己関連処理条件に限定した時にseed regionの活動と同期するcoupled regionとなる他の脳領域を検討した。検討においては、群間要因(うつ病患者・健常者)と群内要因(認知行動療法前・認知行動療法後)の2要因分散分析を行なった。その結果、seed regionをMPFCとした時に、前帯状回皮質(ACC)に有意な交互作用が見られた( p < 0.005 (uncorrected) and a cluster size of more than 5 voxels)。うつ病患者の認知行動療法前のMPFCとACCの結合性は、認知行動療法後に有意に低下していた(p < 0.001)。これにより、認知行動療法に伴う情動制御機能の変化がMPFCとACCの機能的結合性によって調整されることを明らかにした。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Affective Disorders
巻: 208 ページ: 610-614
https://doi.org/10.1016/j.jad.2016.10.017
BMC psychiatry
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