本研究の目的は、うつ病や不安障害などの感情障害における情動制御障害の心理生理学的メカニズムの解明であった。行動レベルでは感情刺激に対する認知処理の制御を媒介として不安や抑うつが感情に及ぼす影響を検討した。また、情動制御に関連した脳活動と認知行動療法による情動に対する制御スキルの獲得に伴う神経活動及び関連する神経ネットワークを検討した。その結果、情動制御には前頭前野の広範な領域の活動上昇と扁桃体の活動低下を伴うこと、認知行動療法によってネガティブな刺激の処理に伴う前頭前野の活動の変化を検出した。また、機械学習を用いて脳活動からうつ病患者を一定の精度で検出可能であることを示した。
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