研究課題/領域番号 |
25780415
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福森 崇貴 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (50453402)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 共感疲労 / がん医療 / 看護師 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本研究は,がん医療に従事する看護師の共感疲労(compassion fatigue)予防に向けた基礎的研究である。研究目的は,1.患者のどのようながん体験が看護師の共感疲労のきっかけとなり(引き金),それに接した際,看護師の頭の中にはどのような考えが浮かぶのか(認知)について質的に検討すること,2.看護師を対象とした共感疲労測定尺度の標準化を行い,我が国の共感疲労の実態について量的に検討すること,の2点である。最終的には,これら2点を通して得られた知見を,がん医療現場における看護師の心理的サポートシステム構築へと繋げでいくことを目指す。 平成27年度は,前年度に引き続き,1の質的研究パートおよび2の量的研究パートの双方を進めた。まず,1の質的研究パートでは,最終的に28名の看護師に対してインタビュー調査を実施した。その際の適格基準は,がん医療に従事して2年以上の看護経験を有し,過去に共感疲労に陥った経験があり,かつ,現在精神的な問題のため医療・相談機関にかかっていないことであった。得られた音声データはすべて逐語化し,データ分析の一部(コンテント抽出,コード化,およびカテゴリー抽出まで)を完了させた。 また,2の量的研究パートについては,医療機関計4カ所に所属する看護師619名を対象に質問紙調査の実施,データの分析を行い,共感疲労測定尺度(ProQOL-5)に関する信頼性(再検査信頼性・α係数)および妥当性の確認までを完了させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
量的研究については,細かな分析を除きほぼ完了した。しかし質的研究については,当初予定していた通りのデータ数は集まったものの未だ理論的飽和には至っておらず,分析終了のためには更に数名の対象者追加が必要となる。そのため,抽出されたカテゴリーの最終決定および信頼性・妥当性検証の作業に移ることができていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には,質的研究を急ぎ完了させる。当初の予定では,質的研究パートにより得られたカテゴリーから尺度項目を作成し,共感疲労尺度(ProQOL-5)との関連をみることまでを視野に入れていたが,計画を変更し,量的研究パートは,看護師を対象としたProQOL-5の標準化および実態調査までで完了することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,本研究は平成27年度が最終年度であったが,質的研究パートで対象者の追加が必要となったため,補助事業機関の延長申請(平成28年度まで)を行った。そのため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,質的研究の実施(インタビュー調査の実施・逐語化・分析),協力機関や対象者に対する研究結果のフィードバック,および研究成果の発表に関わる費用として使用する予定である。
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