本研究は,がん医療に従事する看護師の共感疲労(compassion fatigue)予防に向けた基礎的研究である。研究1(質的研究)では,がん医療に従事する看護師30名に対して半構造化面接を実施し,得られたデータについて内容分析を行った。その結果,看護師が患者のがん体験に接してから共感疲労に至るまでの間に生じる認知的反応として,13のカテゴリーおよび40のカテゴリー構成要素が特定された。また,研究2(量的研究)では,看護師618名に対して質問紙調査を行った。その結果,看護師を対象とした共感疲労測定尺度(ProQOL)日本語版が作成され,また,我が国の看護師における共感疲労の実態が示された。
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