研究実績の概要 |
CRAFTプログラムの実施者養成に関して,2015年9月にウェブを利用した実施者養成システム「TxIntegrity」の導入について検討した。ウェブを利用した実施者養成システム「TxIntegrity」の導入については,システム開発者のRoozen氏を招聘し,講演会を実施するとともに,TxIntegrityを本邦に導入するための具体的な検討を行った。 行動活性化プログラムの実施者養成の効果検証として,2015年7月~10月の間に高知県の若者自立支援者を対象に3回の研修を行った。参加者は141名,延べ309名であった。研修ではまずひきこもり支援に造詣の深い臨床心理士1名が講義をし,その後参加者同士でロールプレイを行った。研修の内容は渡部(2014)が作成したマニュアルに沿ってなされた。各回の前後にその回の技法と支援への全体的な効力感について5件法で尋ねた。項目は渡部(2014),大谷(2013)を参考に臨床心理学を専攻する大学院生2名が作成した。 各回の技法についてそれぞれ反復測定一元配置分散分析を行ったところ,カウンセリング技法(F(1, 92) = 56.31, p < .001),行動活性化技法(F(1, 93) = 88.63, p < .001),ソーシャルスキルトレーニング技法(F(1, 82) = 194.90, p < .001)において研修実施前に比べ実施後の得点が有意に上昇していた。支援への全体的な効力感についても有意な差がみられた(F(5, 49) = 24.39, p < .001)。しかし,多重比較の結果,それぞれ研修実施前の得点は実施後に有意に上昇したが,研修実施後と次回の研修実施前では有意な得点の下降がみられた。
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