研究課題/領域番号 |
25780424
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京成徳大学 |
研究代表者 |
石村 郁夫 東京成徳大学, その他部局等, 准教授 (60551679)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 強み / キャリア意識 / 職業興味 / 不安 / 抑うつ / ポジティブ心理学 / ポジティブ心理学的介入法 / 大学生 |
研究概要 |
初年度は、就職活動に取り組む大学生や学生相談に通う大学生の強みの発見と活用を支援するポジティブ心理学的介入法を開発するために、従来の強み概念を概括的に検討し、新しく強みを測定する尺度を開発した。また、一般大学生を対象に、開発された強み尺度を用いてキャリア意識や職業興味との関連、さらには、不安や抑うつとの関連を検討し、強みの発見と活用が就職活動や精神的健康に対してどのように影響を与えているのか質問紙調査を実施した。 1.VIA-IS、CSF、Realise 2、動機づけ面接で使用される価値観並び替えカードから、強みの定義に合致することに留意し、心理学を専門とする教員1名、大学院生1名、大学生2名でKJ法を行って、最終的に強み自覚尺度60項目が選出された。因子分析の結果から、6カテゴリ(各10項目)が抽出され、十分な適合指標が得られ、強みを測定する簡便で信頼性の有する新たな尺度が開発することができた。 2.強みの自覚・発見がキャリア意識や職業興味の育成に有効であるか検証するために、開発された強み自覚尺度とキャリア意識(CAVT)および職業興味(VRT)に回答を求めた結果、強みを自覚していれば就職活動に対して積極的に取り組んでいることが示された。また、職業タイプと強みの関連が見られ、職業選択に際して強みを活用するという新たな視点が提供された。 3.強みの自覚・発見が不安(STAI)と抑うつ(SDS)の予防因になるか検討した結果、強みを自覚していれば、不安や抑うつは軽減されることが示され、より強みを自覚するように支援すれば不安や抑うつを軽減する一助になることが示された。 以上から、強み自覚尺度が開発され、キャリア意識や職業興味、不安や抑うつとの関連が検討され、就職活動に取り組む大学生や学生相談に通う大学生の強みの発見と活用の支援に向けて必要な基礎資料が得られたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1および2において、一般大学生を対象にした質問紙調査を通して、強みを測定する尺度を開発し、キャリア意識や職業興味、不安、抑うつとの関連を実証することができた。これらにより、就職活動に取り組む大学生や学生相談に通う大学生の強みの発見と活用の支援に向けて必要な基礎資料が得られたと考える。 一方で、強みの自覚を促す条件を同定し、強みの自覚を促進させる介入ポイントを整理するために一般大学生を対象にした質問紙調査の実施が当初計画していた平成25年度内に終了できずに遅れている。理由としては、強みの活用される生成条件の精査と介入ポイントの整理は慎重を期しており、学術雑誌や関連書籍などの文献研究や一般大学生を対象にした面接調査の実施が必要であると判断されたためである。また、平成25年度に研究代表者が准教授に昇進し、所属機関における業務や責務が増加したことにより、研究を遂行する時間を十分に確保することが難しかったことも遠因と考えられる。ただし、次年度の介入プログラムの実施の際に用いる強みカードや肯定的な活力資源を同定するアセスメントシート等の支援ツールは開発済みであり、改訂を重ねて完成に至っている。そのため、次年度以降は、研究協力者を雇用し、研究を推進していく予定である。 以上を達成度の理由と考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、前年度に開発された強み尺度を使用し、「研究3:一般大学生を対象にした質問紙調査による強みの活用される生成条件の精査と介入ポイントの整理」を重ねていく。さらに、「研究4:就職活動を控えた大学生を対象にした強みの発見と活用を支援する介入プログラムの試験的運用」を実施し、その妥当性を検証する。正規プログラムの起訴段階として就職活動を控えた大学生を対象にして強みの発見と活用を支援する心理教育的プログラムを実施し、本プログラムの有効性、実施可能性ならびに調査協力者の肯定的な変化を促進する上での重要な要素は何であるかについて質問紙法、観察法、面接法で探索的に検討する。プログラムに含まれる各セッションの題材としては、米国防総省のレジリエンス・トレーニング、CAPPの強みの開発プログラム、スマート・ストレングス・モデルを参考に10回セッションと在宅課題を設定する予定である。本プログラムの効果量を算出するために、本プログラム実施前後および追跡評価の時点で、強み自覚尺度、キャリア意識の発達を測定するCAVT、精神的健康を測定するWHO-5、STAI、SDSを含めた質問紙調査を実施する予定である。 以上の試験的運用で得られた実施者や参加者の所感を踏まえて、2015年3月末までに本プログラムを微調整し、就職活動を控えた一般大学生により適合した内容に改変する。また、別の対人援助職の専門家でも利用できるように実施する上での行動要領をまとめていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該助成金の理由としては、前年度の研究に際しての印刷費や資料分析のための協力者雇用、諸学会参加に係る費用などで、当初の予算以下で実施可能だったことによる残額による。 次年度の使用計画は以下の通りである。 物品費としては、関係書籍の追加収集と文房具類、印刷用紙の購入などであり、旅費としては、諸学会参加のための交通費・宿泊費を計上する。また、人件費・謝金としては、研究に協力いただく被験者への謝礼(およそ40~80名予定)、資料整理やデータ入力および分析作業等の協力者への謝礼を計上する。さらに、その他として、研究で用いる質問紙尺度、調査用紙、介入プログラムの印刷費、諸学会での研究発表と参加費用、委託費(論文翻訳等)などを計上する。
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