本研究は米国で開発されたDSM-IV II軸の代替アセスメントツールShedler-Westen Assessment Procedure-200(通称SWAP-200)の日本語版作成とその有用性についての調査を行うことを目的としたものである。本年度は、日本語訳されたSWAP-200の活用可能性について、日本犯罪心理学会のシンポジウム及び、日本精神分析学会の学会誌にて発表を行った。日本犯罪心理学会では、鑑別を行う際、反社会性パーソナリティ障害の有無や暴力性の有無、再犯の可能性などを見極める指標としてSWAP-200が活用されている英国の研究を紹介した。そこでは、SWAP-200が他の自記式の人格検査とは異なる、評価者の専門的観察を基盤にしていることから、その有効性が期待されるという意見があった。また、学会誌では、主に米国におけるSWAP-200を活用した実証研究を紹介し、臨床と研究をつなぐことを目的にSWAP-200が考案されたことを論じた。 SWAP-200は臨床家の専門的かつ主観的な観察を調査対象としているため、臨床現場で働く実務家の協力が不可欠である。本年度は、SWAP-200が広く使われている医療保健領域及び司法犯罪領域にその有効性を説明し協力を仰ぐという活動が多かった。現在、精神医療の現場で診断権を有する精神科医とカウンセリングを担当する臨床心理士との間で評価が一致しているか(評定者間信頼性)、また、時期によって診断が変わらないか(時間的安定性)を検証するため、データを収集中である。
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