研究概要 |
本研究の目的は,機能的磁気共鳴画像法を用いて,気分障害における認知的情動制御不全に関わる認知神経メカニスズムを明らかにし,その病態理解を深め,気分障害患者の情動制御支援につなげることである。気分障害は,自殺のリスクか高い疾患あり,全疾患の中でも疾病負担の大きな疾患である。これまで,気分障害における自動的な情動処理に関する脳機能画像研究は多くなされてきているが,認知的情動制御に関する研究はまだ少ない現状がある。また,気分障害の中でも大うつ病性障害と双極性障害での情動制御に関わる認知神経メカニズムの違いは明らかではない。そこで,本研究では,機能的磁気共鳴画像法を用いて,認知的情動制御を行っている時の脳活動を健常者,大うつ病性障害患者,双極性障害患者の3群で比較し,気分障害の認知的情動制御障害の認知神経メカニズムを明らかにすることを目的としている。 平成25年度は、気分障害患者で機能的磁気共鳴画像法を用いた実験を行う前に,健常成人参加者を対象にして,実験課 題の妥当性を検討した。年度の最初に、予備的な実験を行い、数名の実験協力者に協力いただいて、実験課題の妥当性や実験手順に関する詳細の検討を行った。その後、17名の健常参加者を対象に作成した情動制御課題を行っている時の脳活動を機能的磁気共鳴画像法を用いて測定した。本実験では、情動制御課題を行っている際の皮膚電気抵抗についても同時計測した。当初予定したサンプル数に到達次第、気分障害患者を対象とした実験も計画している。
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