研究課題
本研究の目的は、機能的磁気共鳴画像法を用いて、気分障害における認知的情動制御不全に関わる認知神経メカニズムを明らかにし、その病態理解を深め、気分障害患者の情動制御支援につなげることである。気分障害は、自殺のリスクが高い疾患であり、全疾患の中でも、疾病負担の大きな疾患である。これまで、気分障害における自動的な情動処理に関する脳機能画像研究は多くなされてきているが、認知的情動制御に関する研究はまだ少ない現状がある。また、気分障害の中でも大うつ病性障害と双極性障害での情動制御に関わる認知神経メカニズムの違いは明らかではない。そこで、本研究では、機能的磁気共鳴画像法を用いて、認知的情動制御を行っている時の脳活動を健常者、大うつ病性障害患者、双極性障害患者の3群で比較し、気分障害の認知的情動制御障害の認知神経メカニズムを明らかにすることを目的としている。平成26年度は、気分障害患者で機能的磁気共鳴画像法を用いた実験を行う前に、健常成人参加者を対象にして、実験課題の妥当性を検討した。この実験は昨年度からの引き続きで行っており、これまで34名の健常成人参加者を対象に情動制御課題を行っている時の脳活動を機能的磁気共鳴画像法を用いて測定した。なお、実験中は皮膚電位も測定して情動的な覚醒状態を測定し、実験の前後で情動制御に関わる心理的変数の測定や神経心理学的検査を行っている。これまで、34名の健常成人が実験に参加しており、目標サンプルサイズに到達するのと実験結果も当初仮説をたてた領域での活動が認められたため、今後は、気分障害患者を対象とした実験を実施する。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、健常成人参加者を対象とした機能的磁気共鳴画像実験における目標サンプルサイズは達成できてきた。現在は、気分障害患者を対象とした実験のためのリクルーティングを開始している。
気分障害患者を対象とした実験を円滑に行うために、積極的なリクルーティングを行う。また、気分障害患者を対象とした実験を安全に行うため、再度実験における詳細部分の確認と修正を行った上で、機能的磁気共鳴画像実験を行う。
年度末に実験を予定していたが、参加者のキャンセルや機械のトラブルにより実験ができなかった。そのため、調整がつかず12133円の残額が発生した。
12133円に関しては、次年度において、謝金の一部として使用することを計画している。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件)
行動療法研究
巻: 41 ページ: 3-12
Journal of Affective Disorders
巻: 168 ページ: 229-235
10.1016/j.jad.2014.06.030
Psychiatry Research: Neuroimaging
巻: 221 ページ: 246-248
10.1016/j.pscychresns.2013.12.006
精神神経学雑誌
巻: 116 ページ: 825-831
Depression Frontier
巻: 12 ページ: 41-45
ストレス科学
巻: 29 ページ: 45-54