研究課題
若手研究(B)
反すうを測定する代表的な質問紙としてRuminative Responses Scale(RRS)が挙げられる。また、近年RRSの中から、抑うつとの関連が強い“考え込み(brooding; 現状と達成できていない状態の消極的な比較)”と、抑うつとの関連が弱い“反省(reflection; 自己の抑うつ症状の改善に向け、問題解決を行うことを意図した内的注目)”という2因子が抽出された。2013年度には、このRRSの合計得点や下位尺度得点と社会的問題解決の各次元との関連を検討した。社会的問題解決の各次元を測定する指標として、Social Problem-Solving Inventory-Revised Short form(SPSI-R:S)とMeans-Ends Problem-Solving Test(MEPS)が挙げられる。以上の2つの指標の日本語版を作成し、国内4大学の大学生に回答を求めた。同時にRRSと、抑うつを測定するBeck Depression Inventory-Second Edition(BDI-II)などにも回答を求めた。その結果、SPSI-R:SとMEPSのある程度の信頼性・妥当性が確認された。また、BDI-IIの影響を統制した上で各指標とRRSとの関連を検討したところ、①RRSの合計得点や考え込みとSPSI-R:Sのネガティブな問題志向や回避型問題解決スタイルに正の偏相関が認められたことから、反すうは嫌悪的な環境や感情を回避するという目標を達成するための認知行動的反応の一部であると考えられた。また、②反省はポジティブな問題解決志向と正の偏相関係数が得られ、また考え込みよりも合理的問題解決スタイルとの関連が強かったことから、反省は積極的な問題解決過程の一部であることが示唆された。しかし、③RRSの合計得点や考え込みはSPSI-R:Sの合理的問題解決スタイルやMEPSの得点と正の相関が認められ、反すうが問題解決スキルを妨害する、という仮説は支持されなかった。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の予定に加え、SPSI-R:Sの翻訳と標準化を行うことができたため、本指標が国内の抑うつ・うつ病の研究の発展に貢献できる可能性がある。また、SPSI-R:Sを用いたために、反すうと関連する社会的問題解決の次元を特定することができた。2013年度に取得されたデータの論文化や学会発表の準備を進めている。
2013年度には半年後に追跡調査を行ったが、その結果の分析が行うことができなかったため、その分析を行う。また、2013年度に行った研究ではMEPSの精度に改善の余地があると考えられた。そのため、当初の予定を若干修正し、2014年度にはMEPSの精度の改善を試みた上で2013年度に行った研究の追試的検討を行う。
物品購入のために使用した額が当初の予定より少なかったため。書籍の購入といった物品購入のために使用する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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http://island.geocities.jp/deprumination/