研究課題/領域番号 |
25780435
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
瀧川 真也 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10587281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 懐かしさ / 哀愁感情 / 高齢期 / 因子構造 |
研究実績の概要 |
本研究は,懐かしさ感情を用いた回想法の開発の基礎研究として,高齢者の懐かしさ感情の機能・特性および精神的健康との関連を明らかにすること目的とする。 平成26年度は,平成25年度の65歳以上の高齢者を対象とした調査データに,18歳~64歳までのデータを追加し,青年期から老年期までを通しての懐かしさ感情の因子構造と発達的特徴を検討した。調査対象者は18~88歳の男女821名であった。質問紙には一般感情尺度(小川他, 2000)と,先行研究および予備調査から得られた懐かしさに関連する感情や状態を表す言葉の計50項目を使用した。その結果,懐かしさ感情は「ポジティブ感情」,「リラックス感情」,「哀愁感情」の3因子構造であることが明らかとなった。 次に,懐かしさ感情の発達的特徴を検討するために,対象者の中から22歳以下の対象者347名を若年群,65歳以上の対象者308名を高齢群として抽出し,懐かしさ感情の各因子の加齢による影響を検討した。その結果,リラックス感情で,男性の若年群は高齢群よりも有意に得点が高いことが示された。以上の結果から,懐かしさはポジティブ感情とネガティブ感情の両方の感情を内包していることが明らかとなった。同時に,懐かしさは複数の感情から構成される複合的感情であることが示された。これは前年度の高齢者を対象とした研究と一致するものであった。また,「哀愁感情」は過去に対する喪失感などが反映された,懐かしさ感情固有の因子であると推測される。懐かしさと加齢との関連については,懐かしさはどのの年代においても一定の構造を有していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の研究目的は,高齢者を対象として懐かしさを喚起させる刺激(音楽)の特性を調べることであり,Web調査を用いた調査を予定していた。しかし,当初計画していた方法に問題があり,調査手続きの見直しが必要となった。 具体的には,懐かしさを感じる音楽の特性を検討するために,参加者には,研究者が一定の基準(過去のCD売上枚数や過去の音楽ランキング)を用いて抽出した音楽群の中から懐かしさを感じる音楽を選択させる予定であった。しかし,本研究では高齢者を対象にしており,高齢者にWeb画面上で多くの選択肢を提示することは回答に際して負担をかけること,また,選択肢を減らすと,自伝的記憶を反映した個々の懐かしい音楽の想起が困難になることが予想された。 以上の理由から,調査方法の見直しのために平成26年度に予定していた調査を実施することができず,計画に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,2つの計画を予定している。まず,前年度実施予定であった,高齢者を対象に懐かしさを喚起させる音楽の特性をWeb調査法により用いて検討する。調査方法で問題となった回答方式については自由記述式として,65歳以上の高齢者男女300人に実施予定である。 次に,懐かしい記憶の回想が高齢者の精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。これまで研究代表者は懐かしさ感情の喚起によって,自伝的記憶の想起(回想)が促進されることを確認している。本研究では,回想の機能を測るReminiscence Functions Scale(Webster, 1997; RFS)を用いることで,どのような目的で行われた回想が精神的健康をもたらすのかについても検討する。調査対象者は65歳以上の高齢者男女300人を対象とし,調査はWeb調査によって実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施予定であった高齢者を対象とするWeb調査を用いた調査について,調査手続きの見直しが必要となった。具体的には,懐かしさを感じる音楽の特性を検討するために,参加者には,研究者が選出した音楽群の中から懐かしさを感じる音楽を選択させる予定であった。しかし,高齢者にWeb画面上で多くの選択肢を提示することは回答に際して負担をかけること,また選択肢を減らすと本研究のねらいである自伝的記憶を反映した個々の懐かしい音楽の抽出が困難になると予想された。 以上の理由から,調査方法の見直しのために年度内に調査を実施することができず,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,上述の未実施の調査に加え,65歳以上の高齢者300名を対象としたWeb調査の実施を予定している。昨年度未実施の調査については,調査方法を見直し,研究目的は変更せず,手続きを変えて実施する予定である。 Web調査は,市場調査会社への委託する予定であり,その調査委託費を研究費の主たる部分として充当する。残額分については,学会参加費,旅費,論文投稿費等に使用する。
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