研究課題/領域番号 |
25780436
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
川人 潤子 福山大学, 人間文化学部, 講師 (70636092)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自己複雑性 / 知能 / 抑うつ / うつ病 / 健康開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,抑うつとの関連が指摘されている自己認知の複雑性(以下,自己複雑性とする)と知能との関連について検討し,その知能に応じた抑うつ低減プログラムを開発することである。 当該年度では,大学生および大うつ病に罹患した患者を対象とした,知能に応じた抑うつ低減プログラムの作成および効果の検討を目的とした。 平成26年度に実施した知能検査と質問紙調査の結果,大学生に関しては,肯定的な自己複雑性と作動記憶および処理速度に正の関連が示された。しかしながら,その他の変数間には有意な関連は認められなかった。また,うつ病患者に関しては,否定的な自己複雑性と言語理解,知覚統合,作動記憶とに正の関連が示された。しかし,その他の変数間には有意な関連は認められなかった。 これらの結果を受けて,大学生を対象とするプログラムとして,作動記憶や処理速度の高い者に対しては,肯定的な自己複雑性を高めるプログラムを開発した。1名の大学生に対して予備実験を実施したところ,介入前と比較して,介入後にはポジティブな単語,側面の数が増し,自己複雑性や肯定的自己複雑性の数値が上昇した。 さらに,作動記憶や処理速度の低い者に対しては,現在認識している自己側面を可視化し,側面間の関連が複雑であれば,整理するプログラムを開発し,1名の大学生に対して予備実験を実施した。介入前後で効果評価を行ったところ,いずれの指標にも増減は確認されなかった。そこで,参加者に改善点を尋ね,プログラムの再検討を行った。さらに別の大学生1名に対し,介入を行ったところ,介入後に肯定的自己複雑性の数値が増加し,抑うつの数値の減少が認められた。そこで,今回作成したプログラムをもとに,大学生ならびにうつ病患者への複数名への介入を行うことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
プログラムの開発を行ったものの,予備実験段階での修正の必要性が生じ,改善後の実施に時間を要したこと,プログラム参加者の募集に時間を要したことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の修正の可能性がある。当初は,プログラムの効果評価の時期をプログラム前後,1か月後,3か月後,6か月後と設定していたが,対象者の選定に時間を要した場合,効果評価の期間を3か月後までと変更する。 平成28年度は,プログラムの実施および効果評価を行う。さらに,データの分析を行い,学会発表および学術誌等に成果を公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
プログラムの実施が遅れ,謝金等を利用することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
プログラムの実施にあたり,参加者への謝金の支払い,研究協力者への人件費の支払を行う予定である。
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