研究課題/領域番号 |
25780447
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
有賀 敦紀 立正大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20609565)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 問題解決 / 洞察 / 社会的比較 |
研究概要 |
我々が日常生活で直面する問題の中には,過去の経験が役に立たず,新しい解を創造する必要のある問題が数多く存在する。このような問題を解決するための認知過程は洞察と呼ばれる。そして洞察が生じると,あたかも突然「解がひらめいた」ように飛躍的に問題が解決される。本研究では,「洞察は直感的には突然生じるが,操作可能である」という仮説に基づいて,洞察の生起メカニズムを実験心理学的に検討する。さらに,洞察が生じるときの生理指標の測定を通して,洞察を促すための統一的・普遍的手法の開発を目指す。 平成25年度は,洞察のトリガーとなる認知活動を特定することを目指した。具体的には,研究者自身の先行研究に基づいて,実験参加者の課題解決時間が,他者の成績にどのように依存するのか(同調するのか)を調べた。まず実験1では,参加者にとって比較する他者が多いとき(25人条件)と少ないとき(5人条件)を設定して,問題解決における社会的比較対象の量の効果を調べた。実験の結果,多数条件の参加者の方が少数条件の参加者よりも,他者の成績に同調する割合が大きかった。次に実験2では,比較する他者が参加者と同じ集団(内集団)である条件と異なる集団(外集団)である条件を設定して,社会的比較対象の質の効果を調べた。実験の結果,内集団条件の参加者の方が外集団条件の参加者よりも,他者の成績に同調する割合が大きかった。いずれの実験結果も,問題解決において,洞察は社会的比較によって操作され得ることを表している。 平成25年度の成果については,誌上,および学会で発表すべく,現在準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スケジュール通りに計画を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は問題解決中の生理指標(眼球運動や脳波)の測定を行い,問題解決において洞察を促すためのモデルの構築,および手法の開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の実験に想定以上の時間がかかったため,予定されていた次年度のための予備実験を実施することができなかったため。 上記理由から,予備実験の実施のために使用する。
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