我々は試行錯誤を通じ、多様な環境へ適応する能力を有している。この適応学習の成立には、様々な報酬情報を脳内で表現する必要があろう。これまでの学習理論は、主に中脳ドパミン細胞による報酬予測誤差と呼ばれる実際と予測した報酬の誤差の信号についてであり、生理学的にその他の報酬情報表現についての研究は不十分であった。そこで本研究では、視床下部外側野に着目した。結果、視床下部外側野において①報酬予測誤差様信号に加え、②報酬の不確実性、③無報酬予測情報が表現されていることを発見した。これら視床下部外側野における多様な報酬情報表現は、多様な環境への適応・学習に重要な役割を果たすことが考えられる。
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