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2014 年度 実施状況報告書

他者の目が課題遂行能力に影響を与える脳メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 25780454
研究機関名古屋大学

研究代表者

渡邊 言也  名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD) (90637133)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード覚醒度 / パフォーマンス / 社会的ヒエラルキー / 上下関係 / 扁桃体
研究実績の概要

我々は他人の目の有無によって覚醒度や集中度が変化し、その結果作業の効率や出来不出来が影響されてしまうという経験をすることがある。本研究はそのようにして喚起された情動が私たちの課題パフォーマンスへ与える影響の特徴とその脳内メカニズムについて検証するものである。本年度は行動実験および、総説研究を行った。
行動実験においては前年度行った行動実験での失敗と結果を元に新たな実験を50名ほど行った。その結果、課題実行寸前の瞳孔の拡散・収縮を観察することによって、課題遂行時のパフォーマンスを予測できる可能性が示唆された。このデータについては、日本で行われたワークショップでも発表し、多くの先生方から注目をしていただくことができた。また実験結果について多くのディスカッションをすることができた。来年度はこの現象をモデル化し、fMRIを用いた実験を行う予定である。
総説研究においては、本研究が着目する「他者の目」の中でも最も大きな影響を与えうる「社会的ヒエラルキーの知覚とその脳への影響」に関する総説論文を執筆した。この総説では上位または下位の他者の存在や、自身の社会的身分が、どのように人々の知覚の変化やストレスを与えるのか、そして結果的に課題パフォーマンスに影響を与えるのかについて、自身の過去の研究と、最近の神経科学・心理学分野の研究内容についてサーベイした。そして社会的ヒエラルキーの影響が大きく現れると考えられる脳ネットワークや特定の神経伝達物質について明らかにした。この内容に関しては近日中にFrontiers in Neuroscience誌おいて掲載される予定である(受理済み)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度は実験結果が芳しくなく、思い通りの結果を出すことができなかったが、本年度は行動実験、総説論文の二つの形で成果を得ることができた。行動実験の結果は大変興味深く、個人の覚醒度や集中度を生理学的指標によってモニタリングすることができただけでなく、個人ごとに成績を事前に予測することができる可能性もある。今後のfMRI実験にもつながる重要な結果を得られた。
加えて、行動実験とは別に上位、下位の他者の知覚とそれが課題遂行者の行動に影響を与えるまでの脳メカニズムの総説を執筆した。この内容はFrontiers in Neuroscience誌おいて査読付きの総説として最近受理され、本科研費の成果として報告することができた。今後はこの総説研究によって見出された脳システムを仮説として実際のfMRI実験を行う。

今後の研究の推進方策

現段階で得られた行動実験の結果と総説論文で得られた脳内システムの仮説を元に、計算モデルの構築と、fMRI実験を行う予定である。またアメリカ、ラトガース大学のマウリシオ・デルガド先生に本研究についてお話ししたところ、ご興味を持っていただき、本研究の申請者は2015年7月から約一年の間、先生の研究室で学ばせていただけることになった。デルガド先生は情動制御と報酬系脳システムの専門家であり、それらの研究に関する多くの実績をお持ちであることから、この留学は本研究を一段と推進できるものと考えられる。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、研究室を異動した際に当初購入予定であった実験機器(心拍・呼吸・筋電を取得するための)を幸いにも無償でお借りすることができたため多少の予算の余裕ができた。しかしながら、申請者は次年度、アメリカの研究室に留学する予定のために、その機器を購入する必要がある。そのための予算として次年度に繰越させていただいた。

次年度使用額の使用計画

心拍・呼吸・筋電を取得するための計測器具の購入費、およびfMRI実験の謝金として繰越た予算を使用する予定である。また研究結果についての論文の投稿費用などの一部にもあてがう予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of subconscious and conscious emotions on human cue-reward association learning2015

    • 著者名/発表者名
      Noriya Watanabe, Masahiko Haruno
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 5 ページ: 8478

    • DOI

      10.1038/srep08478

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neural mechanisms of social dominance2015

    • 著者名/発表者名
      Noriya Watanabe, Miyuki Yamamoto
    • 雑誌名

      Frontiers in Neuroscience

      巻: - ページ: 未定

    • DOI

      10.3389/fnins.2015.00154

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 情動反応が学習過程に与える影響とその特徴2015

    • 著者名/発表者名
      渡邊 言也
    • 学会等名
      1st Neuroeconomics Workshop
    • 発表場所
      ホテルウィングインターナショナル相模原, 神奈川
    • 年月日
      2015-02-21
    • 招待講演
  • [学会発表] Pupil dynamics predict human task performance prior to the execution.2015

    • 著者名/発表者名
      渡邊 言也
    • 学会等名
      脳と心のメカニズム 第15回冬のワークショップ
    • 発表場所
      留寿都リゾート, 北海道
    • 年月日
      2015-01-08
  • [学会発表] Human associative learning is enhanced by the subliminal emotional primer.2014

    • 著者名/発表者名
      Noriya Watanabe, Masahiko Haruno
    • 学会等名
      The 44th Annual meeting of Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington D.C., USA
    • 年月日
      2014-11-17
  • [学会発表] 閾下情動プライマーによる条件付け時の学習率促進効果2014

    • 著者名/発表者名
      渡邊 言也
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      同志社大学, 京都
    • 年月日
      2014-09-10
  • [学会発表] 情動喚起が学習に影響を与える脳メカニズムの解明2014

    • 著者名/発表者名
      渡邊 言也
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      同志社大学, 京都
    • 年月日
      2014-09-10
  • [備考] 2014年3月 日本心理学会 日本心理学会第78回学術大会優秀発表賞受賞

    • URL

      http://www.psych.or.jp/prize/conf.html

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公開日: 2016-06-01  

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