研究課題/領域番号 |
25780456
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
國見 充展 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿医療工学研究部, 研究員 (70460384)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | fMRI / 加齢 / 記憶 / 視覚情報 |
研究概要 |
fMRIを用いて,若年者と高齢者の視覚的短期記憶課題遂行時の脳賦活応答を比較した。言語的符号化が容易な線画と言語的符号化が困難なマトリクス図形を刺激として,加齢による視覚情報処理の違いと記憶成績の差を検討した。先行研究では,加齢に伴いBOLD信号は亢進し,その程度やパターンは課題と難度に依存することが示されている。指標となる行動データとそれを反映する脳活動の関係を明らかにすれば,この現象は臨床診断に応用することが可能である。 刺激(言語的符号化容易,困難)の2条件を実験条件とし,刺激と脳活動の関連を調べた。若年群20名,高齢群20名が実験に参加した。GRE-EPI法を用いて脳機能画像を収集した(3T,Slices = 39,TR = 3000ms,TE = 30ms,Thickness = 3mm,Gap = 0.72mm,FOV = 192mm,64×64)。取得したデータはStatistical Parametric Mapping(SPM8)を使用して解析を行った(すべてp<0.001, uncorrected)。 その結果,両年代群とも,視覚野および前頭前野の広範囲にわたる賦活が見られた。特に,認知や意思決定を行う前頭前野背外側部([BA] 46)や視覚的注意を担う角回([BA] 39)の賦活が示された。年代群間で比較すると,全般的に高齢者の方が若年者よりも強い賦活が認められた。特に前頭前野背外側部のほか,色と形の判断に関係すると考えられる左右の紡錘状回([BA] 18)の賦活に有意な差が見られた。背側視覚経路と腹側視覚経路の差が示された。 本研究から記憶の更新機能に関わる領域の加齢影響を客観的に検出する認知計測法として,難度の異なる認知課題の脳賦活応答の比較を臨床画像診断に応用できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り初年度の予定は遂行された。
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今後の研究の推進方策 |
分析を進め,脳賦活応答と課題成績や事前にとったペーパなどとの相関を調べる。さらに実験2として,課題難度を段階的に変化させ,脳賦活応答を比較する。本研究の視覚刺激を用いた記憶課題が,加齢影響を客観的に検出する臨床画像診断に利用できる認知負荷ストレステストとして応用可能か,その妥当性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進める上で必要な物品の購入時期がずれた。 計画に基づいて購入を進める。
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