研究課題/領域番号 |
25780461
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
飯野 祐樹 弘前大学, 教育学部, 講師 (10633612)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ニュージーランド / カリキュラム / 評価 / 保幼小の接続 |
研究概要 |
2007年に改訂されたニュージーランドの小学校のカリキュラムは、就学前カリキュラムを基礎に据えながら生涯教育の観点から作成されている。本年度の調査では、このようなボトムアップの形態で小学校のカリキュラムを作成するに至った経緯、その背景にある生涯教育の理念、さらには、双方で共通して用いられている評価観、について実地調査から情報を収集することを目的とした。 ニュージーランドでの実地調査は、研究計画書で示した通り2回実施した。1回目の調査は南島のクライストチャーチで行った。主な訪問先は、カンタベリー大学と市内の保育施設である。カンタベリー大学では、カリキュラムを専門とする研究者へのインタビュー、保育施設では実践の観察と実践者へのインタビューを実施した。2回目の調査は北島のウェリントンと南島のクライストチャーチで実施した。ウェリントンでは、教育省、保育施設、そして、小学校を訪問した。教育省では、保育部門の政策分析官と小学校のカリキュラム作成に携わった関係者へインタビューを行った。保育施設と小学校への訪問では、実践の観察と実践者へのインタビューを行った。クライストチャーチでは、これまでの調査を踏まえ、今後の研究の方向性に関する打ち合わせを行った。 本年度の調査より、小学校のカリキュラム作成に至る背景、及び、理念について、ニュージーランド政府関係者に対するインタビューから明らかにすることができた。他方、実践場面の調査から、ニュージーランド政府が示した保幼小の接続モデルが実践レベルには十分に浸透していないこと、さらには、政府関係者と実践者の考えの間に乖離が生じていることが示された。このような中にあって、クライストチャーチで行われているプロジェクトが、今後ニュージーランドの保幼小の接続において重要な役割を果たしていくことが保育関係者へのインタビュー調査から明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ニュージーランドでの実地調査から小学校のカリキュラム作成に関する情報を保幼小接続の観点から収集することを主たる目的に位置付けていた。この点に関して、当初の計画通り実地調査を2回行えたことは評価できるものと考える。また内容についても、政府関係者、保育関係者、小学校関係者の3者から幅広く情報を集められたことは評価できるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の調査はニュージーランドの保育施設と小学校での実践場面を中心に調査を行う予定である。中でも、1年目の調査から示されたクライストチャーチの実践に着目し、その内容を明らかにする。尚、2年目もクライストチャーチとウェリントンで2回の実地調査を行う予定であるが、クライストチャーチの調査に時間が必要と判断された場合は、ウェリントンでの調査をクライストチャーチに変更する場合もある。 調査内容としては、1)小学校のカリキュラムで示されている5つのKey Competencyから、就学前施設、及び、小学校での子どもの様子の観察、2)Key Competencyを用いた実践・教育プログラムの作成方法に対する検討、3)Learning Dispositionの観点から就学前施設、及び、小学校で用いられている評価観に対する検討、の3点を考えている。 この他、1年目に収集した情報についても整理し、学会発表や論文執筆に向けた準備も同時に行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今回の調査では関係者に対する長時間のインタビューを実施した。内容については正確に理解するため、業者に書き起こしを依頼する予定であったが、2回目の調査を3月末から4月初旬にかけて行ったため、年度末までに手続きが間に合わず、次年度に繰り越す形となった。 インタビュー内容の書き起こし費用として用いる。
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