本研究は,世紀転換期から現代へと至るアメリカ学校改革の社会思想史を再考し再解釈することにより,デモクラシーの教育をめぐる歴史的・政治的・哲学的な前提を批判的に検討する。本研究において中心的に示されるのは,デモクラシーによって「公衆」を形成するという問題が,シティズンシップや道徳性や批判的思考といった現代教育の新しい理解を生みだしているだけでなく,歴史的にはいまだ論争的なテーマであり,ジョン・デューイのような学校改革の理論家たちが教育による社会改造を論じるさいに展開した重要なテーマでもあるということだ。ここでは「公衆」というレンズを通して,アメリカ学校改革論のさまざまな課題が明らかとなるだろう。
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