研究課題/領域番号 |
25780469
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鳥居 和代 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (30422570)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 方面教育 / 訪問教師 / 戦後教育 / 教育問題 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後初期の子どもや青少年を取り巻く社会・生活・文化とのかかわりにおいて生起していた諸問題の歴史を、主として教育関係者の取り組みに着目して、総体的に明らかにすることを課題とする。2014年度は、前年度に引き続き、戦後の神戸市における校外教育、すなわち「方面教育」の取り組みと、訪問教師制度について、学校所蔵資料の調査や関係者への聞き取りを中心に研究調査を進めた。 本年度は、神戸市の公立中学校3校と公立小学校1校の学校文書調査を行い、方面教育および訪問教師関係の所蔵資料を閲覧・収集した。また、1960年代における訪問教師の経験者に質問紙調査や聞き取りを行い、私蔵の関係資料を閲覧する機会を得た。さらに訪問教師制度に関連して、神戸市の「同和教育」資料についても、神戸市立中央図書館における蔵書や『神戸新聞』マイクロフィルムの調査により、入手することができた。 以上の研究調査により、方面教育活動における長期欠席問題への対応や交通安全指導の背景と様相を捉えることが可能となった。とくに、神戸市における長期欠席問題と被差別部落問題の関係に踏み込むことで、学校における差別と疎外の問題を浮かび上がらせるとともに、方面教育から訪問教師制度への展開過程の中に、そうした既存の学校や教師の価値観を相対化し、変えうる契機があったことを明らかにした。 前年度から本年度にかけての研究成果は、神戸史学会機関誌に研究論文として公表した。また、本年度の主な研究成果は、教育史学会第58回大会(2014年10月)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校所蔵資料調査、関係者への聞き取りなど、年度計画は予定どおり実施されたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画どおりに課題を推進し、次年度は1950年代の銚子市の九十九里浜地域における子どもたちを取り巻く教育と労働・生活の実態、学校における長期欠席問題への取り組みに焦点を当てて調査を進める。
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