研究課題/領域番号 |
25780471
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10452327)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高次の学力 / 資質・能力 / 「教科する」授業 / 形成的評価 / 学習としての評価 / アメリカ / アクション・リサーチ / 教師教育 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、本研究の三つの柱について、下記のように取り組みを進めた。 A. 高次の学力を育成する授業像と授業設計の方法論の解明:米国を中心とした目標分類学に関する研究の蓄積をふまえ、学校で育成すべき資質・能力の全体像を分類・構造化する枠組みを提起した。コンピテンシー・ベースのカリキュラムが要素的スキルの重視や授業の形式化に陥ることを回避し、汎用的スキルを実質的に育むために、「教科する」授業の方法論(目標の明確化、思考を促す課題・学習環境・文化のデザイン、評価)を具体化した。 B. 学習者主体の追求を促す形成的評価の方法の解明:米国では現在、21世紀型の学習に向けて、パフォーマンス評価や「学習のための評価」をキーワードとする改革が進行中である。こうした評価改革をリードしているスタンフォード大学のSCALE( Stanford Center for Assessment, Learning and Equity)の取り組みについて、聞き取り調査や意見交流を行った。また、スタンフォード大学の教員養成プログラムや、米国での授業研究のネットワークについての調査も行い、教室においてプロジェクト型の学習を組織し、パフォーマンス評価などを通じて学習の深まりを形成的に評価し支援できる教師を育成する方法論についても検討した。 C. 日本の学校現場でのアクション・リサーチ:上記の理論的検討の成果をふまえつつ、豊川市立一宮南部小学校、香川大学教育学部附属高松小学校、伊丹市立東中学校、長岡京市立長岡中学校などで、高次の学力の育成を目指した単元開発や授業づくりを進めた。 こうした実践研究の成果もふまえつつ、新しい学力と学びを実現する道筋を明確化し、それを現場教師向けのブックレット『今求められる学力と学びとは―コンピテンシー・ベースのカリキュラムの光と影』(日本標準)としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、A. 高次の学力を育成する授業像と授業設計の方法論の解明、B. 学習者主体の追求を促す形成的評価の方法の解明、C. 日本の学校現場でのアクション・リサーチ、という3つの柱で進めている。平成26年度については、これら3つの柱について、それぞれ予定していた程度かそれ以上の進展を生み出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画からの大幅な変更はない。よって、計画に従って、平成27年度は、高次の学力を育成する授業像と授業設計の方法論、および学習者主体の追求を促す形成的評価の方法論について、引き続き研究を進めるとともに、教員研修(教材研究、実践の記録と省察)の先行事例や教師教育学の知見を参照しながら、「教科する」授業の実践指針を、教員研修用ワークショップ教材の形で具体化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
形成的評価に関する日本国内の実践資料の収集を年度内に行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
形成的評価に関する日本国内の実践資料の収集を行う。
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