研究課題/領域番号 |
25780473
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
立石 麻衣子 奈良教育大学, 教育学部, 講師 (50626299)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イギリス / ユースワーク / ユースサービス / 質保証 / 事業評価 / クオリティ・マーク / 社会的専門家 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、青少年を対象とする公共事業における社会教育学的評価を検討することにある。具体的にはイギリスで使われているユースワークの評価指標「自己評価フレームワーク(以下、クオリティ・マーク)」を取り上げ、その背景にある評価の理論を明らかにすると共に、クオリティ・マークを用いてユースワークを評価することの利点と問題点を検証することを目指している。 今年度は、昨年度の現地調査で得た文献資料を元にイギリスにおけるユースワークの評価議論を整理し、ユースワーカーが「社会的専門家」と称されていること、その上で、業績評価(市場原理)では社会的専門家による事業(ユースワークらしさ;非効率であったり社会関係資本の構築に寄与するワーク)を評価しきれないこと、業績評価の過程はワーカーの専門的知識の向上につながらず、むしろ専門家の自律性を制約してしまう等の問題点が指摘されていることを明らかにした。そして、それらを克服する評価体系としてクオリティ・マークが開発されたこと、それは参画型評価として位置づけられ、評価の過程を通じてユースワーカーのワーカーとしての自覚と能力が高まる工夫がなされていることを見出した。 また、今年度は日本における子ども・若者支援関係施設の運営評価の比較研究も行った(「子ども・若者支援専門職養成に関する総合的研究」との連携共同)。この調査結果も「評価指標の分析の視点」として、今後の研究に生かしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クオリティ・マークの理論分析の結果を試論として提示する計画であったが、考察の時間が十分ではなく試論が完成しなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、平成26年度からの継続課題となった、クオリティ・マークの背景にある評価理論(試論)を完成させる。(イギリスにおけるユースワークの評価を巡る議論の整理と、クオリティ・マークの位置づけの明確化) 第二に、実証分析として、本研究で得た或る自治体の事例の分析をさらに進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画であった渡英・現地調査が、勤務大学での業務との兼ね合いで時間的制約が生じ、実現できなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
渡英・現地調査費として使用予定である。
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