本研究の成果は、次の三点に集約できる。まず第一に、教科書における「学習課題」を教科・学年横断的に、また三つの知識観に着目して分析する分析枠組みを提起したことである。第二に、日本とドイツの教科書の比較研究を通じて、日本の教科書における「学習課題」の特徴を明らかにしたことである。すなわち、日本の教科書は、「手続きに関する知識→説明→事実に関する知識」という構成になっているパターンが圧倒的に多く、「メタ認知的知識」に関わる課題が少ないのである。第三に、教科書が「学習の触媒」として機能するためには、授業における子どもたち自身の「課題意識」を生起させる教材研究・発問研究の重要性を指摘した点である。
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