本研究は、ドイツの中等学校制度が三分岐型から二分岐型へと改革されるなか、各州の中等学校は実際にどのように再編されたのか、またそれに伴い教育評価制度はどのように変化しているのかについて明らかにしてきた。 まず、中等学校制度の改革状況について、ドイツ全体の改革動向として言えるのは、分岐型制度は弾力化するけれども、弾力化しても分岐型そのものは維持しているということである。すなわち、ドイツにおいても単線型制度のメリットが理解されつつあるが、生徒の学力レベルが異なり、また修了資格制度も異なるドイツでは、従来の分岐型制度を残さざるを得ない。したがって、初等教育段階(基礎学校)の単線型制度を中等教育段階に延長し、生徒の進路変更をより柔軟なかたちで認める方策が採用されている。 次に、教育評価制度の変容について、ドイツ全体として、次のように言える。すなわち、学校制度再編により学校制度は一見すると変わりつつあるように見えるが、修了資格制度は依然として三分岐型を維持している。その一方で、選抜制度は多様化が進んでいる。具体的には、生徒の進学先の選択ではまず保護者の決断を尊重するが、それでうまくいかない場合は、学校の成績または試験によって決める。それでもうまくいかないのであれば、進学先の判断や学区制度あるいは抽選などの方法で決定し、あとは後半の進路変更を柔軟に認めて微調整を行うのである。つまり、従来のように学業成績(教育評価)が生徒たちの選別・配分機能を保持しつつも、選別・配分機能を果たす別の仕組みも導入されつつあることがわかる。
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