研究実績の概要 |
平成26年度は、「理由の空間」と「第二の自然」という近年の分析哲学の進展の中で注目されている概念が、理性や規範に関する研究の伝統を持つ教育哲学における問題設定や議論にどのような変容をもたらすかを検討することを目指した。その前段階として、ジョン・マクダウェルの解釈する「理由の空間」と「第二の自然」に関する議論の「社会性」と、社会構築主義の「社会性」との対比を行った。この討究により、前者は、人間存在の「社会性」と「自然性」の乖離を防ぎ、第二の自然(社会性-理性)を第一の自然(自然性-動物性)に還元しようとする自然主義とも、第二の自然が第一の自然を凌駕すると考える社会構築主義とも異なる観点から、理性-社会性-規範性をもった自然的存在である人間の説明を可能にすることを明らかにした。 本年度中に関係論文3本を上梓した(1. ‘Animality and Rationality in Human Beings: Towards Enriching Contemporary Educational Studies’, Cosmos and History: The Journal of Natural and Social Philosophy, 10(2), pp. 182-196; 2. ‘On the Benefits and Burdens of the Notion of “Standpoint”’, Philosophy Study, 4(5), pp. 334-344; 3. ‘Nature, Nurture, Second Nature: Broadening the Horizons of the Philosophy of Education’, Educational Philosophy and Theory, 46(5), pp. 499-511.)。
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