研究課題/領域番号 |
25780495
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
黒川 雅子 淑徳大学, 社会学部, 准教授 (90339482)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | いじめ / 危機管理 / いじめ防止対策推進法 / いじめ防止基本方針 |
研究実績の概要 |
本研究は,いじめ問題に対する学校の対応の在り方を教育学と法学の学際的見地から明らかにすることを主たる目的とするものである。いじめ防止対策推進法の制定を受けて,平成26年度は,全国的に学校設置者や学校がいじめ問題への対処をめぐり,いじめ防止対策基本方針の策定やいじめ対策調査委員会の立ち上げ等に取り組んでいた。 そこで,研究2年目にあたる本年度は,いじめ防止対策推進法に定める組織の設置状況や,いじめ防止基本方針の整備等,法律の定めに対応するために実施されている新たな取り組みについて,教育委員会に調査を行うこととした。分析の結果,都道府県・指定都市におけるいじめ防止等の対策の進め方として,いじめ対策に関する基本理念の他に,基本方針や各組織の設置根拠を含めた「総合的」ないじめ防止対策条例を制定するというスタイルをとる自治体と,総合条例は制定せず,地方いじめ防止基本方針を策定し,それに従っていじめ対策を推進しようとする自治体とがあることが明らかとなった。 また,いじめ問題に起因する裁判例の収集を今年度も継続して行い,学校側に求められる安全配慮義務に関する事例研究の積み上げを試みた。平成25年度に行った複数の裁判例の分析結果から,いじめのレベルに応じた対応を行う重要性が増していることや,いじめの実態解明を目的とした調査の実施が不可欠であると解されることを指摘した。だが,実態解明を目的とした調査は,社会通念に照らして妥当な方法で実施されなければならず,学校側の責任が問われたケースが存在することが明らかになった(佐賀地方裁判所平成25年12月13日等)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目における研究成果の目標としていた教育委員会等へのヒアリングを実施することができたからである。また、裁判例の分析を継続的に進めることもできたためである。
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今後の研究の推進方策 |
いじめ問題に関する裁判例の収集・分析を継続して行うとともに、いじめ防止対策推進法を踏まえて学校側に改めて問われる安全配慮義務の範囲について検討することとしたい。また、今後のいじめ問題の対応にはどのような研修が必要となるのかについて検討するために、教育委員会の研修の実施状況を把握するための調査を実施し考察を試みることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の補助として人件費を計上していたが、今年度においては、調査補助者を活用出来ずにいたため。
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次年度使用額の使用計画 |
調査補助者を適宜活用するようにしたい。
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