本研究は,いじめ問題に対する学校の対応の在り方について,裁判例を素材として教育学と法学の学際的視点から検討しようとする試みである。研究初年度の2013年,いじめ防止対策推進法が制定された。それゆえ,学校が,法的な視点によりいじめ問題に対応するため,新たな組織体制の整備等に追われる時期と重なった。 裁判例分析の結果,学校側の責任としては,いじめの実態解明を目的とした調査の実施が不可欠と解されることが明らかとなった。また,いじめ自殺に起因する裁判例の分析を通じ,問題発見後,具体的な効果が得られる指導を状況に応じて選択出来ていたか否かという点が学校の責任に関する重要な判断基準となることが判明した。
|