2015年度は、本研究の基軸である三つの研究・調査活動を中心に、研究計画を推進してきた。 ①訪問調査(恵那):恵那教育研究所及び恵那市立中央図書館での資料確認、恵那地域におけるフィールドワーク。 ②丹羽実践に関する記録・資料の再生作業:千葉大学教育学部から一時的に預かっている記録・資料の整理及び保存作業の完了 ③研究発表・論文執筆:博士学位請求論文の執筆、学会誌への投稿論文の執筆を進めてきた。 また、上記の研究活動の詳細は次の通りである。 ①に関しては、丹羽実践の全体理解を一層深めるために、恵那教育研究所が保管する資料を調査し、教育実践と地域の関係性への視点を広げていった。その結果、丹羽が所属していた小学校の研究紀要や地域の教育史に関する膨大な資料群を確認することができた。 ②に関しては、2012年度まで千葉大学教育学部に保管されていた丹羽実践資料を、2013年度から武庫川女子大学教育研究所に一時移管し、資料の整理・再資料化・保存などの「再生作業」を着実に進めてきた。この作業によって再資料化したもののうち、丹羽実践に関する資料(丹羽が発行した学級通信等)、地域の教育活動に関する資料(東濃民主教育研究会編『人間・生活・教育』)については、恵那教育研究所への寄贈手続を進めてきた。 ③に関しては、これまでの2年間、丹羽徳子の教育実践・教育思想の全体理解を試みてきたが、最終年度の1年間は、教育思想の構造的理解へと歩みを深めた。とりわけ、教育思想を紐解くうえでの鍵概念の中心に「(子どもの)生活史」を位置づけ、その教育的価値の検討を行ってきた。この研究成果については、日本臨床教育学会機関紙『臨床教育学研究』第4巻に「丹羽徳子の生活綴方教育実践の思想―とくに、丹羽実践にあらわれる子どもの「生活史」に着目して―」と題する研究ノートとして掲載されることが決定している。
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