本研究が明らかにしたことの一つは、「人事アセスメント」の中でも新規学卒者を対象とする採用テストが特に大企業を中心として普及した理由である。導入された「自由応募」制度への対応、企業経営における行動科学の知識の活用、科学的知識による採用の正当化、面接試験への活用のためにテストが広まったのである。もう一つは、全国の大学・短期大学の就職支援担当部局を対象とした質問紙調査の結果から、現代における採用テスト対策の教育的意義を明らかにしたことである。大学にとって対策の意味は、対策を実施しないことによる不利益を回避する「保険」と、大学生が心的負担を感じることのないリメディアル教育であった。
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