研究課題/領域番号 |
25780513
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
李 敏 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (30531925)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 留学生 / 国際化 / 人材 |
研究実績の概要 |
H26年度は研究計画書の通りに、留学生を中心に調査を実施した。 (1)留学生の受入れに対し、各大学の留学生担当教員を対象にインタビュー調査を実施した。H26年度においては、地方国立大学を中心に調査を行った。インタビューの結果をまとめてみると、①中国人が海外留学のブームのなかで、日本留学から欧米留学へシフトする動きが一層活発しつつある。したがって、日本は、欧米国家との留学生獲得を巡る競争のなかで、いかに質の高い留学生を獲得するのかというのは多くの日本の大学の課題となっている。②地方国立大学においては、質の高い留学生の受け入れの問題は一層深刻化している。多くの大学は提携校の拡大などの方法を通して、安定的な留学生の獲得を図ろうとしている。③日本国内の留学生受け入れ政策は、欧米、モンゴル、東南アジアなどの地域に重点をおくという政策転換があるため、留学生センターの仕事は中国、韓国以外の国家と地域にシフトしつつある傾向がある。 (2)「留学生のたまご」として日本語学校の学生の変化について、日本語学校を新たに調査対象に追加した。大学と同じく、欧米へ留学する中国人学生が増加する背景の中で、質の高い留学生の獲得が大きな課題となっている。しかし、この1年間で、欧米留学の飽和、円安、さらに日本における留学生受け入れの重視などの影響で、日本に来る留学生の質が回復に向かっている。 (3)留学生の採用に関して、企業の人事部担当者を対象にインタビューとアンケート調査を実施した。日本においては、留学生を日本人学生と区別して人事採用及び職場配置を行うことが少ないという特徴があげられる。またグローバル人材の重要性が社会で強調されてはいるものの、日本国内向けの企業は留学生の採用に関して積極的ではない傾向が指摘できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究とは別途に、大学院教育に関する研究において、企業人事部を対象とするインタビューと大型アンケート調査を実施した。その調査の中で、H27年度に予定した企業の留学生の採用に関する内容も含まれている。それによって、本研究の調査の順序を若干変更した。 (1)留学生を対象とするアンケート調査をH27年度に実施する。 (2)留学生の採用に関して、企業人事部に対する調査は繰り上げてH26年に実施済みです。 留学生を対象とする大型アンケート調査の実施は、かなりの時間と労力を必要としているので、計画よりはやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度においては、留学生・元留学生調査を実施することを計画する。具体的な計画は下記のとおりである。 ①北京日本学研究センターの卒業生調査。海外における日本学研究及び日本語教育のフォロンティアとして、中国の日本学研究分野で大きな影響力を持っている当センターの卒業生は、日本留学の先駆者(センターの進学者はいずれも日本留学することができる)とも言える。中には修士課程終了後、欧米国家へ留学した卒業生もいる。北京日本学研究センター卒業生を対象とする調査を通して、海外における日本学の教育、日本留学の効果を検証する。 ②日本語学校を対象とする調査を実施する。留学生のたまごと言われる日本語学校において、学生の質などの変化を究明する。 ③国公私、中央・地方の大学を選び、留学生の変化及びその効果についてアンケート調査を実施する。 ④引き続き地域の国際関係のボランティア団体、地域の行政などを対象に留学生の受け入れ体制などについて、調査を実施する。 さらにその上で、研究成果を学会、国際会議、論文などの形式で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で予定したアンケート調査を次年度に実施することとなったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はH27年度請求額と会わせ、H27年度に実施する大型アンケート調査や日本語学校を対象にした調査に使用する。
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