最終年度のH28年度においては、日本学研究センターの卒業生データ分析を実施すると同時に、追加の調査を実施した。留学生のアンケートと同時に、日本国内外、そして中国においては沿海部だけでなく、内陸地域の中国人留学経験者のインタビューも実施した。 その中で、特に力を入れたのは、日本留学の効果を影響する要因をコントロールしたうえで、その長期効果を考察する内容である。 いままでの留学生調査は、日本留学修了後の数年間の考察に止まり、留学の長期効果の測定が欠如している問題があるほか、人文社会系か理工系かという専門分野、留学前の日本語力、日本に対する理解の程度などの要素によって、異なる日本留学の効果をもたらす問題が指摘できる。したがって、本年度は、日本留学の長期的効果について、1980年代の文化外交の事業モデルとして成立、発展してきた北京日本学研究センターを対象に、留学前に高度な日本語学力、人文社会系専攻の学生を中心に、各時代における留学の効果を学務データ、アンケート調査及びインタビュー調査で究明した。 北京日本学研究センターの教務データをデータベース化して、大学における日本語教員養成のための大平クラス、修士課程の30年間、博士課程の16年間の変遷を、進学者の出身大学、出身地域、在学中の学習、日本短期留学、さらに修了後の進路について、分析を行った。教務データに対する分析は報告書にまとめた。 教務データに対する分析を通して、日本留学の長期効果を考察するだけでなく、卒業生に対するインタビューや、内陸地域の中国人留学経験者に対するインタビューを通して、より立体的に日本留学の効果を考察した。上記した研究成果を学会発表及び論文投稿をすることとなっている。
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