本研究はジェンダーの視点から家庭科教育の現状と課題を確認し、展望を明らかにすることを目的として行われた。結果、戦後~1989年の学習指導要領に対応した高校教科書では、①民主的な家族の基盤としての女子特性教育が強調された時期、②女子のみ必修によって、就業による経済的自立を希望する女子にも特性教育を定着させようとした時期、③高校は女子のみ必修のままだが内容を変化させつつあった共修への移行期 ④男女共修によって、ジェンダー平等を意識した記述が増える時期に区分し、聞き書き調査と対応させたが、性規範や家族等の内容と対応した語りは見られていない。課題として④以降を含む内容編成に注目した分析が残された。
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