研究課題/領域番号 |
25780525
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
砂川 誠司 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (20647052)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メディア・リテラシー |
研究実績の概要 |
当該年度では、実践系の資料に力点を置いて考察を進めてきた。 資料取集においては、Heinemann社、およびStenhouse社から出版されている教育書を中心として、アメリカにおけるメディア・リテラシー教育の実践的取組をまとめた書物はほぼ収集が完了した。ただし、収集したものは、個々に理論的背景の異なるものであり、それらが提案するものを同一の理論にまとめることは困難である。個々の具体からいかに理論を抽出するかが問題である。個々の取り組みについては、現時点での検討の限りでは、学会や論文にて発表するほどの新規性をもつものではないと判断している。 また、前年度に学会発表をしたH.Jenkinsの諸論についての考察をさらに進め、学習の論理を再度検討し、論文として発表した(砂川誠司(2015)「国語科メディア・リテラシー教育実践における動機づけの構成―参加型の読みを実現する集団としての学習動機を共有する指導について―」『国語国分学報 第73集』愛知教育大学国語国分学研究室)。本論文においては、国語科におけるメディア・リテラシー教育実践を考えていく際に、「集団としての学習動機」がどのような状態であるかという視点を持つことが、その後のメディア・テクストの分析・制作の活動の質を大きく変えるものであることを指摘した。一方で、「集団としての学習動機」へのアプローチは、学習を始める前段階のいわば「導入」としてのみ考察されているという点に関しては、さらなる検討が必要であるとした。 基礎的研究としての資料体系の充実と、それらを支える理論についての検討を重ねた結果、現時点ですでに一定の学習論を構築できる段階であるが、日本の国語教育へのカリキュラムの統合という点ではいまだ十分な検討ができておらず、課題が残っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国語科におけるメディア・リテラシーの学習に際して、授業をどのように構成したらよいかという理論的な水準での考察のまとめを論文化した。計画段階では論文による発表は掲げていなかったが、まとまった資料体を得ることができたため、発表を行うことができた。そのため、我が国における実践への接合に関する検討はいまだ十分検討できていない。計画段階における一部は想定よりも進み、一部はわずかながら遅れているということから、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度としてこれまでに考察したことをまとめる。特に我が国の国語教科書における写真教材についての見解を、さらに精緻なものとすることで、これまでのものとの接合ができるのではないかと考える。当該年度においては、この方面からの考察を論文化することをめざす。
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