本年度における研究の成果について、三つの視点から述べる。 【パターンランゲージの作成と改訂】本年度は、昨年度における形式の検討結果に基づき、「話し合いパターン」「国語科授業デザインパターン」「アカデミックライティングパターン」「漢字学習のためのパターンランゲージ」について、デザインの変更を行った。その際、大学生を対象とした話し合いのワークを経て、その課題をフィードバックした。また、「話し合いパターン」について、「話し合いのための言葉コレクション」として小学生用のパターンランゲージとして別途作成し、冊子にした。 【パターンランゲージの理論的検討】昨年度の検討に基づき、論文「国語科教科内容の記述に関する理論的考察 ─ 〈出来事〉という観点を導入して ─」としてまとめた。パターンランゲージの記述について、それがただ方略の記述ということにとどまらず、学習場面や言語行為場面における「出来事」を記述するものであることを理論的に示した。 【パターンランゲージの活用】大学生を対象として、「漢字学習のためのパターンランゲージ」を用いたワークを実施し、その結果についての分析を行った。ワークにおいては、大学生の漢字学習についての学習観の違いが明らかになり、パターンランゲージをメディアとするワークが、漢字学習についての省察に資することが明らかとなった。また、教員免許状講習においては、「国語科授業デザインパターン」を用いて、小中高の校種間における対話のワークを実施した。このワークでは、小学校・中学校・高等学校の教員が、国語科の授業について、どのような視点でデザインしているかを、パターンランゲージを通して共有することができた。また、最終的には「話し合いのパターンランゲージ」を小中高の教員が協同して作成し、国語科の教科内容について考えることができた。
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