本年度も前年度同様に作品の諸様式をキャッチフレーズ化したクイズ及びカルタ教材を小学校及び中学校で実践できた。授業実践の実際及びアンケート回答等の分析の結果、前年度同様に、理解と楽しさの両面で本教材の教育的有効性を実証できた。特にカルタは様式の直観的な感受・理解に適し、児童生徒が楽しく熱中して学べる教材であることが確認できた。 今年度は、前年度に実践した江戸時代の絵画の様式キャッチフレーズ教材の一部条件を変えて実践した。具体的な変更点は次の通りである。①光琳、応挙、若冲、蕪村の作品様式をキャッチフレーズ化したクイズ及びカルタ教材のバリエーションを増やして実践した。②前年度は研究代表者が全ての授業実践を行ったが、本年度は一部の授業を協力校教諭に依頼して実践をした。③前年度は島根県の小学校及び中学校で実践したが、本年度は茨城県の小学校及び中学校で実践した。 ①に関しては、児童生徒の回答結果から、作品ごとの感受の難易度や児童生徒が感受においてつまずきやすい点があることを発見できた。ここから作品の難易度の設定や児童生徒のつまずきを回避する方法の考察という新たな課題を展望できた。 ②③に関しては、児童生徒のアンケート回答や協力校教諭の感想等から、授業者が研究代表者、協力校教諭のどちらであっても、同様に好結果を得られたことがわかった。また実践地が島根県、茨城県のどちらであっても、同様に好結果を得られたことがわかった。これらのことから、本鑑賞教育方法が授業者や地域といった偶然性や条件によらず、一般的な妥当性をもつと確認できた。
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