本研究は,自閉スペクトラム症(ASD)者の自己理解の特徴を学校在籍の視点から明らかにすること,及び,ASD者の自己理解に影響する典型発達(TD)者との関係について明らかにすることを目的とした。前者については,ASD者へのインタビュー調査より,在籍や進路を主体的に選択した感覚の獲得と,現在の自己の肯定による過去のネガティブ経験の捉え直しの重要性が示唆された。後者については,幼年期TD児におけるASD児への認識と態度,思春期青年期TD者自身の自己理解とASD理解,青年期TD者におけるASD理解と支援への自己関与意識,それぞれの検討をとおして,各発達期や状況に対応した関係調整支援について考察した。
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