研究課題/領域番号 |
25780540
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮寺 千恵 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90436262)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 家族支援 |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)とは社会性の障害を核とする発達障害である。社会性の障害には対人関係に必要なアイコンタクトが適切にできないことや、表情の認知や理解の乏しさ、言語によるコミュニケーションや非言語コミュニケーションの障害等が含まれる。 他者の気持ちの理解には「心の理論」が必要であることが知られているが、ASD児の「心の理論」の発達が定型発達児に比べて遅いことがBaron-Cohenら(1985)の報告を始めとする多くの研究により明らかとなっている。本研究では、このようなASD児の社会性を支える他者理解に焦点を当てて、ASD児のコミュニケーション力について検討するとともに、ASD児を支える家族や学校教員の支援の在り方について検討を行うことが目的である。 本年度は以下2点について研究を行った。1)ASD児の家族支援:特別支援学校教員がASD児童生徒の家族に対してどのような支援を行っているか調査し、結果をまとめた(論文投稿中)。特別支援学校の教員に対するアンケート調査の結果、教員はASD児の家族に対して、日々コミュニケーションをとること、子どものできたことを中心に支援の成果を共有すること、精神的な支えになることなどを行っていることが分かった。また、実際に実施している支援と重要視している支援の内容も一致していることが明らかになった。2)ASD児の会話場面の発達的変化:小学生のASD児を対象として大人との1対1の会話場面を記録し、その発達的な変化を検討した(投稿準備中)。先行研究に基づいて、文法的な誤りの有無に加えて、会話を先行する割合についても分析し、質的ならびに量的な分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
いくつかの課題を実施したものの、投稿したのは一部にとどまり、結果をまとめきれていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後もASD児者のコミュニケーション能力に焦点を当てて研究を進める。可能であれば、小集団場面での会話分析等も行い、同年齢の他者がいる場面でのコミュニケーション力の検討を行い、会話の成立プロセスや成立条件に基づいて支援の方針を考えていきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究の成果が未確定であったために学会等の発表をしていない。次年度以降は研究成果の報告のために旅費が必要になると判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会での成果報告と合わせて、次年度以降は新たな研究デザインを計画している。そのために実験機器等を充実させることを予定している。
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